「 動かへんて思てた? 」
道頓堀のアレを知る人なら、全員首を縦に振るにちがいない。
私でさえ、再開のウワサがネットで流れ始めても、工事用のネットがゴンドラを覆い始めても、店員からじきに復活すると聞かされても、にわかに信じられませんでした。
それほどまでに文字通り” 無用の長物 ”と化していたドン・キホーテ道頓堀店の観覧車が、10年という長い歳月を経て復活したのです。マジか…!
ぼっちで観覧車100か所乗ってみる。今回は2018年1月19日にリニューアルオープンを果たした話題沸騰なやつに、ぼっちで乗ってきたレポでございます。
【76】「ドン・キホーテ道頓堀店・道頓堀大観覧車えびすタワー」(大阪府大阪市)
人混みかきわけグリコサインで有名すぎる戎橋まで行きつくと、ドドーンとそびえる派手×2なやつが目に入る。カニやらフグやら、何かと飛び出すことが専売特許みたいな道頓堀においては、黄色い鉄骨が空に向かって飛び出していても違和感ないからすごいのだ。
っていうかアレを観覧車だと一瞬で分かる人、どれくらいいるのだろうね。
楕円っぽい。
観覧車は円形なのだー!という Ferrisさんが発明した時からの暗黙の了解をくつがえしている。つねづね観覧車のどこが好きか問われる度に「 丸いから!肯定してくれているようだから! 」と答えている私どうしたらいいですか。
そもそもこれを観覧車と呼んでしまったら、 Ferrisさんに大変失礼致しました以後気をつけますだけでは済まされないのではないですか。
よし。そこまで言うなら見極めてやろうではありませんか。あなたが観覧車と名乗るのにふさわしいか吟味して差し上げましょう。まずは道頓堀川の対岸から観察です。
e-maのど飴にしか見えないゴンドラは全部で32台。4人乗り。赤を基調とした外観はすべて同じで、白い輪のところは夜光る仕様となっている。
いやいやいやいややっぱ観覧車じゃないでしょー。透明ゴンドラは各地で見かけるから良いとして、片側だけ全面スケルトンって何なの? 360度視界が見えるから観覧車なのにあんた景色見せる気あんの? 舐めてんの? のど飴なの?
ニセ観覧車疑惑は深まってしまったけれど、お次は川を渡った間近で観察してみよう。
ドンキ前まで歩み寄ったら係員たちが「 テレビで話題の観覧車でーす! 」「 観覧車どーでしょーかー! 」ってちりんちりんベル鳴らしながら呼びこんでいるではないか。
は!?!?!?
未だかつて観覧車の呼び込みを見たことがあるだろうか。少なくとも75か所乗ってきた中では無い。皆どこも雄々しく建っているだけだった。
なんなの? たたき売っちゃうの? 黄色い鉄骨アレはバナナなの?
もうわかった。あなたが規格外なのはよーく分かった。そこまで言うなら乗りましょう。乗ってから結論出しても遅くはないですからね。
気圧されながらも外階段を3階までのぼる。心拍数が上がってきたけれど、これはいつもと調子が狂ったせいだ。
1人600円のチケット買って並ぶとほどなく、私の番がやってきた。
ここは観光地型観覧車によくある記念撮影してあとで買ってね方式じゃなく、乗り込んでからお客さんのカメラで撮ってくれるシステム。ほほーう。あなた初めていいとこ出したわね。無料なのは有難い限りです。
上昇前までに写し終われなかったらカメラどうなっちゃうの?という素朴な疑問は置いておいて……
これまた椅子が斬新すぎるのだ。
駅のベンチなのだ!!!
※追記 : 2018年12月に乗車した時には、よくある記念撮影してあとで買ってねー方式に変わっておりました。1,000円です。ご自身のカメラで撮っていただくサービスは残念ながら無くなりました。
何なの? 横一列って何なの? ひな壇なの?
もうここまで100個以上ハテナマークが噴出した私をよそに安全バーがおろされて(!)しばらくすると回転した。座席が。
ひええええーーーーー!!!!!
自動的に180度座席が水平回転。道頓堀川を見下ろす格好となるのだ。このままシースルーエレベータのように上昇してゆくのです。なにこれ。
私は目の前の一面透明な窓と対峙することになりました。窓は湾曲してまるで小さなIMAXシアターにいるような気分。劇場内の照明が落ちるように、道頓堀の喧騒がだんだんと遠ざかってゆきます。何が何だかだけれど、ここからの眺望がダイナミックすぎるのです。
清々しさの極みだわー。
その辺の建物を抜きまくる感覚は200%以上の解放感。ビルの屋上なんて人様に見せるもんじゃないから見栄えはアレだけれど、ちょこっと遠くに目をやれば有名展望施設が2か所発見できますね。
1つは上の写真中央。神奈川県民からするとちょっぴり歯がゆいあべのハルカス。長い間日本一ののっぽビルに君臨した横浜ランドマークタワーの記録を21年ぶりに更新された高さ300m。圧倒的高さが目印で見つけやすい。
そしてもう一つが、手前にある紅白の鉄塔を目印に探してほしい通天閣( 高さ108m )。以前少し触れたタワー6兄弟のひとつで、個人的好きなタイプの鉄塔です。
ちなみに背もたれ側( 北側 )にも小窓はあって梅田方面も眺望可能。でもね、安全バーで固定されている身体をぐにゅりと回さなければいけないし、ちと大変なのです。
ところで、先ほどから妙な音が聞こえてくるのですが・・・
うぃーん!うぃーん!という機械音。
座席を水平に保たなければいけない特殊な構造のために鳴る音なんだけれど、ほかの観覧車じゃ絶対聴こえないわけで、これが「 ハルカスより、USJより怖い 」とたまーにつぶやかれる理由かもしれません。
さすがの私も地上高77.4mで鳴らされた時は、ごめん悪かった。正真正銘観覧車。あなた立派な観覧車と認めるから許しておくれ!!ってなりましたもんね(?)
観覧車メーカーの本社が集う大阪に、なぐり込むよう登場したえびすタワー。作ったのは数々の絶叫マシーンも手掛けるスイス・インタミン社です( マカオのホテルに嵌め込まれた8の字観覧車を作ったとこ。つまりは斬新なやつがお得意 )。
数多の常識を覆す唯一無二の観覧車は、ほとんどの方にとって新しい体験となることでしょう。
Twitterで一番つぶやかれる回数が多い( 私調べ )梅田HEPの赤い観覧車。海遊館セットで最強のデートスポットに挙げられる天保山の観覧車。そして2016年夏にできたエキスポシティの日本一高い観覧車。
もともと観覧車大国なこの街に再起動したへんてこ観覧車は、どこまで受け入れられるのでしょうか。外国人観光客にも絶大な人気を誇る道頓堀&ドン・キホーテな組み合わせなだけに、その行く末が楽しみで仕方ありません!
一度は乗ってみるといいですよ。おもしろいですからまじで。
( 訪問日:2018年3月24日 )
( リンク )「 道頓堀大観覧車えびすタワー 」公式ホームページ
「 e-maのど飴 」公式ホームページ ←私はグレープ味派かなぁ。赤っぽいし(?)
いつも楽しい観覧車の話題、拝読させて頂いております。今回は大阪のコテコテの話題をぐいぐいと突っ込みが入り我慢できなくなりコメントしました。3/4を制覇、もう少しで満願成就ですね! 番外編のおすすめの候補を一つ、生駒山上遊園の飛行塔です。642,3m+30m?大阪平野~明石海峡大橋あたりまで見える日もあります。