鞆の浦から明けましておめでとうございます!
波の音と、年賀状を配達するバイクの音だけが響く、とても静かな朝を迎えています。
ここ鞆の浦( とものうら )は、古くから潮待ち・風待ちの港町として栄えてきた場所。江戸時代の港湾施設が今もなお残っていて、上の画像に写る「 常夜灯 」は、安政6年(1859年)建築というとんでもなく歴史がある灯台だったりします。
近年では宮崎駿監督がこちらに滞在して、映画『 崖の上のポニョ 』の構想を練ったとして話題になり、どこか懐かしい街並みは、映画やドラマのロケ地としても引っ張りだこです。
そんな鞆の浦のある広島県福山市には、みろくの里という遊園地があります。キャッチコピーは「 3世代テーマパーク 」。
なにがどう3世代なのか。テーマが漠然としすぎな気はするけれど、とにかく観覧車があるという情報をもとに来てみました。
おっとー!この色褪せ方、味がありますねえ。
入園ゲート脇では「 本日ご来園の皆様 」という高級旅館に掲げてありそうな看板が出迎えてくれました。○○小学校の御一行様・・・とか普段描かれるのでしょうが、元旦とあっては団体さんもいないようでスカスカです。
しかしこの看板、個人客にも配慮してくれているようですよ。どれどれ。何が書いてあるかな?
「 気の合うお友達の皆様 」
「 幸せな家族の皆様 」
「 仲の良いお二人様 」
あれええええーーーー!!!!!
「 とっても楽しいおひとり様 」とかないの? なに? ぼっち客は歓迎されないの???
初っ端から完全アウェーですが観覧車あるし・・・でも不安。でも・・・ゴニョゴニョポーニョポニョ。ぼっちで観覧車100か所乗ってみる。96か所目は、みろくの里の観覧車をレポします…!
【96】「みろくの里・大観覧車」(広島県福山市)
◎妙高サンシャインランドと兄弟機? 50メートルの観覧車
気を取り直して「 みろくの里 」は、森に囲まれたような場所にある自然豊かなレジャー施設です。敷地も広いし遊具もゆったり。数少ないながら絶叫マシーンも備わって、ある程度大きなお子さんでも楽しめそう。
ところで正月から遊園地なんて行く人いるの? とお思いかもしれません。でもこれが意外と多い。帰省したお孫さんと親御さん、そしておじいちゃんおばあちゃんという、キャッチコピーじゃないけれど3世代家族を何組もお見掛けしました。
そりゃあ子供にとっては、お年玉貰ったら暇なだけだもんね。
そんなハートフルファミリーとすれ違いつつ園内一番奥まで辿りつくと、直径50メートルの観覧車がお出迎え。この観覧車、とある特徴がありまして。
当ブログの熱心な読者様ならもうお分かりでしょう。観覧車の周囲をぐるっと引っ掛けた2本のワイヤーを動かすことで観覧車を回転させる、ワイヤー式という稼働方法をとる観覧車です。
今の主流はタイヤ、すこし古いタイプだと歯車( ギア )で回転させるタイプがあるけれど、ワイヤー式は 福岡市動物園と、妙高サンシャインランドに続き、これで3か所目。やっぱ希少なやつなんだな。
過去2つと比較すると、大きさといいゴンドラデザインといい1989年製といい、妙高サンシャイン~のものと激似。メーカーも同じサノヤスさん。これは兄弟機ってところでしょう。
そして足元には謎のオブジェを見つけまして・・・
これ。絶対シースルーゴンドラに付け替えるからってバトンタッチされたやつだ。
まだまだ僕は働けるのに。どうして僕は電飾なんか付けられているのさ。見世物じゃない。地べた這いつくばっていたいんじゃない。僕は空を舞いたいんだ。ただただ舞っていたいのだあーっ!て声が聞こてきそうです。悲しいなおい。
シースルーゴンドラは全部で4台じゃん。お役御免になったゴンドラも4つじゃん。だから、あなただけでも輝いていていいじゃん!って励ましの言葉をかけておきました。少しは慰めになると良いのですが・・・
フリーパス、または入園料のみで入ったなら1周400円。(シースルーゴンドラは値段が異なりフリーパスに+200円追加。または入園料のみで入ったなら1周600円です。)
電飾ゴンドラに別れを告げて、新年一発目を満喫してみます。
「 ほら乗ってきなー 」「 おじいちゃんおばあちゃんはベンチで待ってるからー 」みたいなやり取りが発生する中、1人です!と元気よくチケット差し出します。私がおじいさんになっても、観覧車だけは乗ってゆきたいものですなあ( お茶をすすりながら )
◎観覧車から見えるハズ!?映画にまつわる景観とは
みろくの里は冬場のイルミネーションを盛大に推しているのですが、期間中だったからでしょう。乗車ゴンドラがイルミイベント仕様で、女子中学生の部屋みたいな感じで笑った。
眺望は、有名なものが見えるー!という訳ではなく、ただただ自然を満喫するタイプ。このあたりも妙高サンシャイン~と似ているところですね。
都会のビル群にそびえる観覧車も好きだけれど、正月とか、落ち着いた雰囲気を求めるなら、一層解放感を得られる大自然型観覧車がお気に入り。観覧車も使い分けが大事ということです。
そんな一面鬱蒼とした森の中に、古びた建物を見つけました。
さすがにあれは廃屋な気もするけれど、みろくの里には一般非公開の時代劇オープンセットがあるのです。
勝新太郎監督の映画『 座頭市 』(1989年公開)で物語後半に登場する宿場町のオープンセットが建てられたことが始まり。その後も映画『 梟の城 』や『 あずみ 』、近年では大河ドラマ『 龍馬伝 』の撮影もされたとか。
結構広い敷地だよな。すぐ見つかるだろうって思ったのに50メートルから探しても見つかりませんでした。時代劇だけにセット自体が忍術使っているのかもね(?)
( ※プチ情報 確認するまでもなかったのですが『 座頭市 』に観覧車は写りこんでいなかったです。そりゃそうだろ。 )
冒頭登場した鞆の浦もロケが多いと書いたけれど、福山市全体がめちゃめちゃ撮影に縁ある街なのかもしれません。ちなみにTBS系ドラマ『 流星ワゴン 』( 2015年放送・西島秀俊さんと香川照之さんのW主演 )では、鞆の浦と、こちらの観覧車がW出演しているので是非。
遊園地の反対側には、松永湾( 瀬戸内海 )を囲むように市街地が広がっています。来るときバス乗ったJR松永駅は、写真右側のあたり。
冒頭紹介した鞆の浦ですが、方角的には遊園地側なんだけれど・・・・・・もうぜんぜん分かりません。えーい。普段なら目ぼしい景色がないか血眼になって探す私も、今日はゆったり正月らしく、何もしない1周10分間を楽しみます。
あ~極楽ごくらく。勝手に非日常へ運んでいってくれる観覧車の醍醐味を、久々にゆったりと味わった気がします。
◎ちょこっとグルメは尾道ラーメンが美味しい
観覧車のほかに2つばかし紹介したいものがあるので、お付き合いくださいませ。
まずは新年一発目の食事から。縁起が良いものがいいな・・・といってもここ遊園地だし無いよな。
と半ば諦めかけていたところ、まあ確かに縁起のよいものは無かったのですが、福山市の隣町・尾道市を中心としたご当地ラーメン「 尾道ラーメン 」を発見です。
ふん。どーせ遊園地のラーメンでしょ・・・って思っていたら大間違い。
メニューに書かれた「 モチモチ食感!自家製麺を使用しています 」はその通りで、遊園地グルメにあるまじき本格派ときた。チャーシュー2枚も入っているし。
尾道ラーメン最大の特徴といえる背油がたくさん浮いているけれど、ルーツは中華そばなので最後までさっぱり味わえます。
◎いつか来た道が、懐かしい!
ラーメンの後は、みろくの里が至る所でオススメしている「 いつか来た道 」というエリアへ。
昭和30年代の街並みを再現しているよ。と聞いても、ふん。どーせブームに乗っかって上辺だけ再現した感じでしょ・・・って思っていたらまたまた大間違い。
映画のセットとしてこのまま転用できるんじゃない? と感じるほど、いつか来たような街並みが精工に再現されていて見応えあり。さらに室内ゾーンを抜けると、
駄菓子屋さんあり、民芸屋さんあり、縁日あり。はたまた中華そばが食べられる食堂あり。これら実際に営業しているから本気で驚いた。
昭和62年生まれの私にとっては懐かしい訳ないのですが、それでも歩くとホッとするのは日本人だなあと思う瞬間です。
ここでおセンチな気分になったら、ホンモノのいつか来た道求めに、鞆の浦や尾道へ足を伸ばすのもgood。偶然にも粋な計らいが効いていますよね。
( 訪問日 )2019年1月1日
( リンク )「 みろくの里 」公式ホームページ
※ 2019年1月中旬から2月末まで、みろくの里遊園地は開園30周年に向けたリニューアル工事のため休園しています。ずいぶん大規模なリニューアルみたいですが、「 観覧車の窓交換工事 」も含まれているとのこと。よりクリアな状態でこの大自然を味わえるなんて、春以降乗車される方が羨ましいぞ~!